何はともあれ、私はシイタケの原木を輪切りにしたモノを、家を取り囲むように埋めた。
シロアリは南方系で高温多湿を好むから、家の南側と、風呂場や台所等の水周りを狙って設置した。
羽蟻が現れたのが昨年のゴールデンウィーク、
原木を埋めたのは、同じく昨年の7月、
ハヤル心を抑えきれず、7月末に原木をめくり返したが、まだシロアリ君は集まっていなかった。
当り前といえば、当り前だが。
計画性のある人間なら、ここでカレンダーに○印でもつけて、定期チェックするところだが、
私の頭は、かなり粗雑に出来ている上に、他に興味のあることができたので、そのまま忘れてしまった。
で、そのまま年を越えてしまい、4月の半ば頃だったと思う。
家の玄関の中に、クロアリが侵入してきて、行ったり来たりしながら徘徊している。
家の者に、砂糖菓子でもコボしたのか、と聞くと、驚くべき答えがかえって来た。
犁酣の今頃もソウだったけど、クロアリが羽蟻(シロアリ)を玄関で待ち伏せして捕獲してたよ
本当にビックリした。
彼らは、シロアリの飛翔時期を予知して、2週間も前から歩哨しているのだろうか。
壁から出た羽蟻は、光に向かって飛び出す。
我が家では、玄関が南側にあるから、そちらに向かって跳ぶ。
ただ、彼らの飛翔能力は限定的で、ハチのようには飛べない。
飛んだり、落下したり、歩いたりしながら、玄関から屋外に向かう。
目的地は、屋外の腐った樹木とか人家だが、99.9%までは天敵の餌になってしまうと、
市販の書籍には書いてある。
そして、そのクロアリの予知能力は実証された。
4月29日のことである。
羽蟻が壁土の中から飛翔して玄関から屋外にはい出してところを、歩哨していたクロアリが
目ざとく見つけては、クワエテゆくのである。
一網打尽だった。
玄関を箒で掃く手間さえなかった。
彼らは、隣同士に住む天敵同士だが、目に見えない相手の生活をどのようにして知るのだろうか。
わからない。
分からないが事実だ。
先祖からの記憶が、DNAの中にきざみこまれているのだろうか。
ともあれ、この事件のお陰で、私は昨年仕掛けたシロアリ収集のために埋めた原木のことを思い出した。
早速、原木をひっくり返してみると、南側の原木の下はシロアリの巣窟になっていた。
東側の風呂場のポイントも、シロアリが密集していた。
何故か台所のポイントには、ほとんど集まっていなかった。
本巣から原木まで蟻道ができてヒンパンに往復している事は明白だった。
フフフッ
この勝負、もらった、私の勝ちだ。
そう確信しながら、ベイト(毒餌)を、密集しているシロアリ君たちの中に入れて、
再び、原木をその上に、そっとかぶせた。
もうちょっと早く思い出せば、今年の羽蟻の飛翔は防げたのだが、
まあ、結果的にはクロアリ君へのプレゼントになったのだから、いいじゃないか、と思ったりもした。
でも、家族からは、いい加減な奴だと非難された。
まあ、これは慣れているから、どうってことはない。
5月末、原木をひっくり返すと、シロアリの数が半減していた。
効果てきめんだった。
7月始めに確認すると、シロアリの数は激減して土が見えた。
前回まではシロアリで土の色が見えない状態だったのに・・・
今は、土の上にシロアリが歩いている感じだ。
7月半ば、シロアリの数は更に減ったが、まだいる。
減少度合が落ちてきた。
従来のベイトシステムでは、シロアリの数は減らせるがトドメはさせない。
なぜなら、家の中にベイトよりも美味しい食材が沢山あるから。
確かに原木設置で、シロアリを集約させるのには成功した。
しかし、それでも、原木を持ってしても尚、シロアリにトドメをさせないのか。
そんな疑念と落胆が、頭をもたげて来た。
その後、私は東京に出かけていて、7月末に家に帰って来た。
庭で原木をチェックしていると、家の者が変なことを言った。
爍隠案らい前、床下の通風孔から、クロアリが白い卵かサナギみたいなモノを持って、
行列作って運んでいたよ
最初は、フーーーン、と思っただけだった。
クロアリは環境が悪くなると、卵を持って移動するからなあ、と。
しかし、待てよ。
床下の環境が悪くなったから、慌てて移動する事なんて、あるのかな。
で、シロアリの巣の確認も兼ねて床下にもぐった。
置石の所に線状の、ドロを盛ったシロアリの通路がある。
ここを通って、床材の中に侵入しているのだ。
床材をマイナスのドライバーでしごくと、腐った木材粉と、シロアリが持ち込んだドロが
バラバラと落ちてくるが、シロアリはいない。
通路にもいない。
地下にもいない。
わたしは、こういう仮説を立てた。
かなり強引な知魚楽ではあるが・・
ベイトと原木で、シロアリのコロニーは、90%以上の働きアリを失った。
食糧不足は深刻で、王様アリと女王アリは、兵アリまでも食糧にしてしまった。
隣人の天敵であるクロアリは、例の予見力で、今が攻撃の好機と悟り総攻撃を仕掛けた。
通常、クロアリの攻撃に対しては、兵アリが戦っているうちに入口を塞いで対応するが、
今は、兵アリはもちろん、働きアリさえほとんどいない。
防御する術もなく、コロニーは崩壊した。
家の者が見た、白いものを持ったクロアリとは、
シロアリ或いはシロアリの卵を持ったクリアリではなかったのか。
そう、知魚楽した。
で、目撃者にそのことを尋ねると、軽蔑した態度で、そんなことは知りません、と言われた。
パールバックの大地では、イナゴに襲われる農地を守る人間の無力さが描かれているが、
最期は、海鳥がやってきて、イナゴを捕食し救われる、という粗筋だったかと思うが、
私の場合は、最期のトドメは、クロアリが助けてくれたのだろうか。
傍目から見れば馬鹿馬鹿しい話かもしれないが、私はそれなりに感動した。
シロアリのコロニーの壊滅は、知人のシロアリ業者に確認してもらい、実証された。
彼が言うには、シロアリの巣や通路の場所が分かっているのなら、床下のその場所にじかに原木を置き、
ジョウロで水をかけておいたらどうか、と助言された。
また、最初からベイトをその下に仕込んでおいて良い、そう言われた。
もし、このやり方で駆除できるなら、シロアリ駆除業界のGDPは10分の1になる、
とも言われ、嬉しかった。
まだ、確認できない部分があり過ぎて、成功したとは、とても言えないが、
これから、知人友人近所で、金をかけないで駆除したい、そして失敗しても文句言わない、
そして庭にクロアリがいる、という人がいれば、施工して実証データを積み上げたいと思っている。
末尾ながら、シロアリは地球の生態系の中で、絶対に必要な存在です。
荒野に木材かすを放置しても、木材かすのままだが、シロアリを添加すれば、
できれば地下に埋めてやれば、分解して、そこが緑の大地になることも夢ではない。
シロアリ+廃木材で砂漠の緑地化をはかろうとしている研究者も実際にいる。
今回は、たまたま、私の家をカジッタから対決しただけの話である。
ただ、それだけの話である。
シロアリ君の冥福を祈る。
シロアリは南方系で高温多湿を好むから、家の南側と、風呂場や台所等の水周りを狙って設置した。
羽蟻が現れたのが昨年のゴールデンウィーク、
原木を埋めたのは、同じく昨年の7月、
ハヤル心を抑えきれず、7月末に原木をめくり返したが、まだシロアリ君は集まっていなかった。
当り前といえば、当り前だが。
計画性のある人間なら、ここでカレンダーに○印でもつけて、定期チェックするところだが、
私の頭は、かなり粗雑に出来ている上に、他に興味のあることができたので、そのまま忘れてしまった。
で、そのまま年を越えてしまい、4月の半ば頃だったと思う。
家の玄関の中に、クロアリが侵入してきて、行ったり来たりしながら徘徊している。
家の者に、砂糖菓子でもコボしたのか、と聞くと、驚くべき答えがかえって来た。
犁酣の今頃もソウだったけど、クロアリが羽蟻(シロアリ)を玄関で待ち伏せして捕獲してたよ
本当にビックリした。
彼らは、シロアリの飛翔時期を予知して、2週間も前から歩哨しているのだろうか。
壁から出た羽蟻は、光に向かって飛び出す。
我が家では、玄関が南側にあるから、そちらに向かって跳ぶ。
ただ、彼らの飛翔能力は限定的で、ハチのようには飛べない。
飛んだり、落下したり、歩いたりしながら、玄関から屋外に向かう。
目的地は、屋外の腐った樹木とか人家だが、99.9%までは天敵の餌になってしまうと、
市販の書籍には書いてある。
そして、そのクロアリの予知能力は実証された。
4月29日のことである。
羽蟻が壁土の中から飛翔して玄関から屋外にはい出してところを、歩哨していたクロアリが
目ざとく見つけては、クワエテゆくのである。
一網打尽だった。
玄関を箒で掃く手間さえなかった。
彼らは、隣同士に住む天敵同士だが、目に見えない相手の生活をどのようにして知るのだろうか。
わからない。
分からないが事実だ。
先祖からの記憶が、DNAの中にきざみこまれているのだろうか。
ともあれ、この事件のお陰で、私は昨年仕掛けたシロアリ収集のために埋めた原木のことを思い出した。
早速、原木をひっくり返してみると、南側の原木の下はシロアリの巣窟になっていた。
東側の風呂場のポイントも、シロアリが密集していた。
何故か台所のポイントには、ほとんど集まっていなかった。
本巣から原木まで蟻道ができてヒンパンに往復している事は明白だった。
フフフッ
この勝負、もらった、私の勝ちだ。
そう確信しながら、ベイト(毒餌)を、密集しているシロアリ君たちの中に入れて、
再び、原木をその上に、そっとかぶせた。
もうちょっと早く思い出せば、今年の羽蟻の飛翔は防げたのだが、
まあ、結果的にはクロアリ君へのプレゼントになったのだから、いいじゃないか、と思ったりもした。
でも、家族からは、いい加減な奴だと非難された。
まあ、これは慣れているから、どうってことはない。
5月末、原木をひっくり返すと、シロアリの数が半減していた。
効果てきめんだった。
7月始めに確認すると、シロアリの数は激減して土が見えた。
前回まではシロアリで土の色が見えない状態だったのに・・・
今は、土の上にシロアリが歩いている感じだ。
7月半ば、シロアリの数は更に減ったが、まだいる。
減少度合が落ちてきた。
従来のベイトシステムでは、シロアリの数は減らせるがトドメはさせない。
なぜなら、家の中にベイトよりも美味しい食材が沢山あるから。
確かに原木設置で、シロアリを集約させるのには成功した。
しかし、それでも、原木を持ってしても尚、シロアリにトドメをさせないのか。
そんな疑念と落胆が、頭をもたげて来た。
その後、私は東京に出かけていて、7月末に家に帰って来た。
庭で原木をチェックしていると、家の者が変なことを言った。
爍隠案らい前、床下の通風孔から、クロアリが白い卵かサナギみたいなモノを持って、
行列作って運んでいたよ
最初は、フーーーン、と思っただけだった。
クロアリは環境が悪くなると、卵を持って移動するからなあ、と。
しかし、待てよ。
床下の環境が悪くなったから、慌てて移動する事なんて、あるのかな。
で、シロアリの巣の確認も兼ねて床下にもぐった。
置石の所に線状の、ドロを盛ったシロアリの通路がある。
ここを通って、床材の中に侵入しているのだ。
床材をマイナスのドライバーでしごくと、腐った木材粉と、シロアリが持ち込んだドロが
バラバラと落ちてくるが、シロアリはいない。
通路にもいない。
地下にもいない。
わたしは、こういう仮説を立てた。
かなり強引な知魚楽ではあるが・・
ベイトと原木で、シロアリのコロニーは、90%以上の働きアリを失った。
食糧不足は深刻で、王様アリと女王アリは、兵アリまでも食糧にしてしまった。
隣人の天敵であるクロアリは、例の予見力で、今が攻撃の好機と悟り総攻撃を仕掛けた。
通常、クロアリの攻撃に対しては、兵アリが戦っているうちに入口を塞いで対応するが、
今は、兵アリはもちろん、働きアリさえほとんどいない。
防御する術もなく、コロニーは崩壊した。
家の者が見た、白いものを持ったクロアリとは、
シロアリ或いはシロアリの卵を持ったクリアリではなかったのか。
そう、知魚楽した。
で、目撃者にそのことを尋ねると、軽蔑した態度で、そんなことは知りません、と言われた。
パールバックの大地では、イナゴに襲われる農地を守る人間の無力さが描かれているが、
最期は、海鳥がやってきて、イナゴを捕食し救われる、という粗筋だったかと思うが、
私の場合は、最期のトドメは、クロアリが助けてくれたのだろうか。
傍目から見れば馬鹿馬鹿しい話かもしれないが、私はそれなりに感動した。
シロアリのコロニーの壊滅は、知人のシロアリ業者に確認してもらい、実証された。
彼が言うには、シロアリの巣や通路の場所が分かっているのなら、床下のその場所にじかに原木を置き、
ジョウロで水をかけておいたらどうか、と助言された。
また、最初からベイトをその下に仕込んでおいて良い、そう言われた。
もし、このやり方で駆除できるなら、シロアリ駆除業界のGDPは10分の1になる、
とも言われ、嬉しかった。
まだ、確認できない部分があり過ぎて、成功したとは、とても言えないが、
これから、知人友人近所で、金をかけないで駆除したい、そして失敗しても文句言わない、
そして庭にクロアリがいる、という人がいれば、施工して実証データを積み上げたいと思っている。
末尾ながら、シロアリは地球の生態系の中で、絶対に必要な存在です。
荒野に木材かすを放置しても、木材かすのままだが、シロアリを添加すれば、
できれば地下に埋めてやれば、分解して、そこが緑の大地になることも夢ではない。
シロアリ+廃木材で砂漠の緑地化をはかろうとしている研究者も実際にいる。
今回は、たまたま、私の家をカジッタから対決しただけの話である。
ただ、それだけの話である。
シロアリ君の冥福を祈る。