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シロアリ その2

シロアリの駆除には、大きく分けて2通りの方法がある。

一つは薬剤散布で、床下一面に殺虫剤をまく訳だが、そうすると床下に住んでる小動物や昆虫まで
すべて殺してしまうことになる。
生態系のすべてを滅ぼしてしまうのは罪悪である。
それに、強力な薬剤は、人間に対してもよろしくない。
かつてのシロアリ薬剤の大半が、今では使用禁止になっていることからも、その有害性は折り紙付だ。
おまけに、木材の中にいるシロアリには効きにくいから、やたらと柱にドリルで穴を開けて
家をボロボロにしてしまう。

もう一つは、ベイトシステムという工法である。
簡単に言えば、毒餌である。
シロアリは、1カ月に1回、脱皮しながら成長するのだが、この毒餌を食べると脱皮できなくなり、
やがては死んでしまう。
働きアリが死んでしまうと、彼らに食わせてもらっていた、王様アリと女王アリも困窮し
子孫繁栄が出来なくなって滅びる、という按配だ。
ただ、この場合、シロアリは毒餌ばかりを食べる訳ではない。
家の柱や梁を主に食べながら、毒餌も食べるというパターンである。
従って、シロアリの数を減らす事は出来ても、駆除には至らない。

余談になるが、20世紀初頭の生物学者で、天敵を使って退治しようと奮闘した方もあったそうだ。
でも、アリクイとかガマは、シロアリは食べるが、地下の本巣に攻め入る訳ではないので失敗。
最大の天敵であるアリも使ったが、これも失敗。
アリとシロアリは別種の昆虫で、シロアリは3億年前に現れた昆虫で、分類上はゴキブリに近い。
両者はともに地下に住んでいて、出会えば必ず、アリがシロアリを襲い食い殺してしまう。

アリが集団でシロアリの巣を襲うこともあるが、そういう場合、シロアリの巣の中から1匹の大アゴを持った兵隊シロアリが忽然と現れ、巣の入口の前に立ちふさがる。
孤軍奮闘、獅子奮迅、アリ軍団とやり合っているうちに、シロアリたちは巣の入口を塞ぐそうだ。
無論、その兵隊アリはアリに食い殺されてしまう。
まあ、考えてみれば、シロアリたちは3億年もの間、生存競争に打ち勝って生き延びてきたのである。
防御手段を持っていないわけがない。

これを聞いた倫理学者は、良心とか自己犠牲精神は、あらゆる生物に普遍的に存在する感情だと
決め付けた。
いつも、愛とは何ぞや、神とは、そして人間とは、と考えている人だから、あらゆる物事が、
ある種の信念を肯定する道具に見えてしまうのであろう。
歯が痛いとき、歯医者の看板が、やたらとお目に入るのと同様である。
これは、不完全な人間という種の宿命であり、避けて通れないジレンマである。
その倫理学者は、シロアリ達が食糧難になると、兵隊シロアリや弱ったアリを何の躊躇もなく食糧に
してしまう事実を知らなかったのであろう。

この種の話は結構ある。
19世紀の学者で、アリの仲間の猴佞りアリ瓩鯆敢困靴討い進、このアリが地下に大量の葉っぱ
を持ち込み、畑を作り発酵させ、キノコ栽培をしている事実を発見した時の事である。
整然とした作業内容と、食糧にならないキノコが生えてきたときに間引きするのを確認した時、
彼は次のような結論を発表した。
猴佞りアリは、将来、人類に取って代わり地球の支配者になるであろう瓩△襪い蓮
狄洋爐砲箸辰洞力なライバルになるであろう瓠,函
無論、これは杞憂に過ぎない。
彼らは人間と異なり、大脳や新皮質を持っているわけではない。
アリが、この世に現れたのは1億年前、葉きりアリは何時頃かは知らないが、
彼らは、100万年前も1000万年前も、同じように葉っぱを取り、畑を作り
キノコ栽培してきたのである。
100万年間、同じ事を繰り返しているのだ。
お百姓のセガレが、親から稲作を教わり、自分なりに創意工夫するのとは本質的に異なる。

さて、人類の種として歴史は、シロアリやアリ、或いは犬やネコと比較しても非常に浅い。
生命史の中では、新参者である。
従って、種としての天命をまっとうするまでには、まだカナリの時間がかかると思われる。
核兵器や戦争、或いは疫病によって滅びると予想する学者もあるようだが、私はそうは思わない。
種としての天寿を迎えるまで存続すると思う。
それでは、人類が未来永劫、永遠に繁栄するかといえば、それもあり得ない。
いつかは必ず滅びる。
人類を母体とした、新しい種があらわれる事はあるかもしれないが…

シロアリ駆除のことを書いていて、また脱線してしまった。
次はチャント書きますから、許してください。

どうも私の大脳新皮質は、世間一般の人よりも薄いらしく、人が爬虫類や四足動物だったころの脳を
制御しきれないようだ。

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